切り傷、すり傷。アロエは家庭の救急薬として理想的な常備薬とはいえますが、残念ながら万能薬ではありません。


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 包丁やガラスの破片で指を切った、転んでひざをすりむいたといったように、毎日の生活のなかでおこりやすい切り傷、すり傷。特に子供のいる家庭では日常茶飯事のできごとでしょう。
 アロエに含まれているアロエチンという成分が働いて細菌のだす毒素を中和したり、細菌を殺してしまいます。つまり傷口にアロエを使えば、化膿するおそれはほとんどありません。また、皮膚組織の傷ついた部分を下から盛りあげる力をもっているので傷口を早くふさぎ、治りも早く、すり傷や切り傷にアロエはもってこいの民間薬といえます。

 治療はやけどの場合と違い、傷の部分を洗う必要はありません。湯冷ましなど一度滅菌した水や、理想的にいえば薬用アルコールでふき、次に熱湯消毒したアロエの葉を切り、切り口からでるアロエ汁を塗ります。軽傷ならこれを数回繰り返せば痛みはとれます。
 少しひどくてかなり出血があるような場合は、アロエのゼリー状の部分を取り出して張ったあと、殺菌したガーゼをあて、包帯をします。ゼリー状の部分が乾いたら、こまめにアロエ汁をたらして湿布します。やがて痛みは薄れ、かなりひどい場合でも、一週間もすれば治ります。

 しかし、どんな場合でもアロエだけで治そうとするのは危険です。大きな傷、特に深い傷の場合は大至急医師の手当てをうけましょう。軽傷でも出血がとまりにくい体質の人は、医師の手当てが必要です。


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【 ポイント 】
傷口の汚れを滅菌した水か薬用アルコールでふき、軽い傷なら熱湯消毒した生葉の切り口からでるアロエ汁を塗る。
少しひどいときは、ゼリー状の部分を傷口に張り、ガーゼをあてて包帯でおさえる。アロエが乾いたら、こまめにアロエ汁をたらす。


◆◇◆ アロエの雑学豆知識 ◆◇◆

 アロエはユリ科に属する多年草で、アフリカの地中海沿岸が原産と言われています。アロエとはヘブライ語で”苦い”という意味で、その歴史は古く、紀元前から薬草として知られていました。
 アロエが薬草として使われていたという最も古い記録は、古代エジプトのミイラのひざのあいだに置かれていたパピルスです。これによるとアロエは、センナなどとならんで下剤として用いられ、また眼病にも使われた薬効のある貴重な植物としるされています。
 さらにアレキサンダー大王は、大遠征の際に負傷兵の治療にアロエを用いて効果をあげ、それをきっかけにアロエの栽培をはじめたとも言われています。
 いずれにしてもアロエが古代より薬草として使われていたことはたしかで、やがて紀元前1世紀には、ローマのディオスコリディスが『ギリシャ本草』のなかで、アロエの薬効を書きしるしています。それによると性器の病気、痔、黄疸、胃の洗浄作用、打撲、おでき、さらに目の洗浄にもなる万能薬であるとしています。
 その後、アロエの薬効はヨーロッパにも広く認められ、十二世紀にはドイツ薬局方にも収載されるようになりました。
 さて、日本にいつアロエが伝えられたのかについては、鎌倉時代とか室町時代とかいわれ、定かではありませんが、江戸時代には貝原益軒が『大和本草』のなかで、「その味苦く臭くして、気味ともにはなはだしく苦きゆえに虫を殺す」しるしています。
 当時、蘆薈(ろかい)と呼ばれたアロエは、その名から中国から伝えられたものだと言われています。中国では『開宝本草』にしるされているところから、八世紀ごろには、民間薬として普及していたと考えられます。
 日本に伝えられたアロエは、九州や伊豆、四国などの山野に自生し、地方によっては、”医者いらず”として重宝がられていました。しかし、アロエが薬用植物として広く栽培されるようになったのは戦後でした。
 現在では、各地、ことに暖地で観賞用として、また民間薬として栽培され、薬効が穏やかで副作用が少ないことから、多くの人々に愛用されています。


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