虫刺され。アロエは家庭の救急薬として理想的な常備薬とはいえますが、残念ながら万能薬ではありません。


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 蚊、毛虫、蛾、ブヨなどの虫刺されによるかゆみは耐えがたく、長時間続くと神経がいらだち、大変つらいものです。ブヨに刺されたときのかゆみは特にひどく、市販の塗り薬ではなかなかおさまりません。そのうえ、かき散らしたりすると、固定じんましんという治りにくい丘疹になったりもします。

 アロエには、殺菌作用や毒素を中和する作用があるので、虫刺されにもひじょうに有効です。軽い虫刺されならば、患部にアロエの汁を塗りつけておくだけで、痛みやかゆみがなくなってしまいます。
 毒虫や蜂に刺されたら、すぐにその部分にアロエをすりおろした汁をガーゼに含ませて張るアロエ湿布をします。ひどくなりそうなときは、アロエの皮をむいてゼリー状の部分を取り出し、患部に張りつけてうえからガーゼをあて、包帯で巻いておきます。患部から熱を生じ、アロエや湿布が乾くようなときは、新しいのととりかえ、これを繰り返しているうちに痛みやかゆみはだんだんなくなります。
 虫に刺されるとかゆさのあまり、ついうっかり手でかいてしまいがちですが、汚れた手などでかくと、傷口から雑菌が入り、赤く腫れ上がります。かかないように注意して、すぐにアロエをつけることが大事です。時間が経過して、かき散らせてしまったときでも、アロエには毒素中和作用と、さらに、消炎作用があるので有効です。

 なお、市販のアロエ軟膏も虫刺されにはよく効きます。患部に2〜3分かけてすり込むと、かゆみはたちどころに消えてしまいます。
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【 ポイント 】
かゆくてもかき散らさない。
軽い虫刺されは、患部にアロエ汁を塗る。
毒虫や蜂に刺されたら、アロエ湿布をする。ひどくなりそうなときは、ゼリー状を取り出して張り、ガーゼをあてて包帯を巻く。ゼリー状や湿布が乾いてきたら、こまめにとりかえる。



◆◇◆ アロエの雑学豆知識 ◆◇◆

 アロエはユリ科に属する多年草で、アフリカの地中海沿岸が原産と言われています。アロエとはヘブライ語で”苦い”という意味で、その歴史は古く、紀元前から薬草として知られていました。
 アロエが薬草として使われていたという最も古い記録は、古代エジプトのミイラのひざのあいだに置かれていたパピルスです。これによるとアロエは、センナなどとならんで下剤として用いられ、また眼病にも使われた薬効のある貴重な植物としるされています。
 さらにアレキサンダー大王は、大遠征の際に負傷兵の治療にアロエを用いて効果をあげ、それをきっかけにアロエの栽培をはじめたとも言われています。
 いずれにしてもアロエが古代より薬草として使われていたことはたしかで、やがて紀元前1世紀には、ローマのディオスコリディスが『ギリシャ本草』のなかで、アロエの薬効を書きしるしています。それによると性器の病気、痔、黄疸、胃の洗浄作用、打撲、おでき、さらに目の洗浄にもなる万能薬であるとしています。
 その後、アロエの薬効はヨーロッパにも広く認められ、十二世紀にはドイツ薬局方にも収載されるようになりました。
 さて、日本にいつアロエが伝えられたのかについては、鎌倉時代とか室町時代とかいわれ、定かではありませんが、江戸時代には貝原益軒が『大和本草』のなかで、「その味苦く臭くして、気味ともにはなはだしく苦きゆえに虫を殺す」しるしています。
 当時、蘆薈(ろかい)と呼ばれたアロエは、その名から中国から伝えられたものだと言われています。中国では『開宝本草』にしるされているところから、八世紀ごろには、民間薬として普及していたと考えられます。
 日本に伝えられたアロエは、九州や伊豆、四国などの山野に自生し、地方によっては、”医者いらず”として重宝がられていました。しかし、アロエが薬用植物として広く栽培されるようになったのは戦後でした。
 現在では、各地、ことに暖地で観賞用として、また民間薬として栽培され、薬効が穏やかで副作用が少ないことから、多くの人々に愛用されています。


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