鼻炎やアレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)など鼻の病気は、まず鼻の粘膜の炎症をおさえて不快な症状をとり除くことです。それには、アロエのもつ消炎作用が効果的です。
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もちろん、蓄膿症など症状の重いものは、専門医の治療をうける必要がありますが、急性鼻炎やアレルギー性鼻炎の初期でしたら、アロエで簡単に治る場合もあります。
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まず、アロエの葉をすりおろしたおろし汁を、綿棒や脱脂綿に含ませたもので、鼻腔をふきます。鼻汁がでたり、鼻が詰まって不快なときに繰り返してください、アロエの消炎作用がすみやかに働いて、鼻の粘膜の炎症をおさえてくれます。 |
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ただし、鼻腔は、デリケートで傷つきやすいので、乱暴にしないように気をつけます。また、あおむけになり、アロエの切り口から直接アロエ汁を鼻腔に入れる方法や、市販のアロエ軟膏を鼻の粘膜につけても効き目があります。 |
蓄膿症の場合には、専門医の治療をうけると同時に、前述のアロエ療法やアロエを内用するとよいでしょう。また鼻炎の原因となる風邪は、ちょっとした気のゆるみや体調の崩れからかかりやすいものです。ふだんから、アロエを内用して、風邪の予防につとめたいものです。
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アロエで治らないアレルギー性鼻炎は、医師にご相談ください。
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【 ポイント 】
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アロエはユリ科に属する多年草で、アフリカの地中海沿岸が原産と言われています。アロエとはヘブライ語で”苦い”という意味で、その歴史は古く、紀元前から薬草として知られていました。
アロエが薬草として使われていたという最も古い記録は、古代エジプトのミイラのひざのあいだに置かれていたパピルスです。これによるとアロエは、センナなどとならんで下剤として用いられ、また眼病にも使われた薬効のある貴重な植物としるされています。
さらにアレキサンダー大王は、大遠征の際に負傷兵の治療にアロエを用いて効果をあげ、それをきっかけにアロエの栽培をはじめたとも言われています。
いずれにしてもアロエが古代より薬草として使われていたことはたしかで、やがて紀元前1世紀には、ローマのディオスコリディスが『ギリシャ本草』のなかで、アロエの薬効を書きしるしています。それによると性器の病気、痔、黄疸、胃の洗浄作用、打撲、おでき、さらに目の洗浄にもなる万能薬であるとしています。
その後、アロエの薬効はヨーロッパにも広く認められ、十二世紀にはドイツ薬局方にも収載されるようになりました。
さて、日本にいつアロエが伝えられたのかについては、鎌倉時代とか室町時代とかいわれ、定かではありませんが、江戸時代には貝原益軒が『大和本草』のなかで、「その味苦く臭くして、気味ともにはなはだしく苦きゆえに虫を殺す」しるしています。
当時、蘆薈(ろかい)と呼ばれたアロエは、その名から中国から伝えられたものだと言われています。中国では『開宝本草』にしるされているところから、八世紀ごろには、民間薬として普及していたと考えられます。
日本に伝えられたアロエは、九州や伊豆、四国などの山野に自生し、地方によっては、”医者いらず”として重宝がられていました。しかし、アロエが薬用植物として広く栽培されるようになったのは戦後でした。
現在では、各地、ことに暖地で観賞用として、また民間薬として栽培され、薬効が穏やかで副作用が少ないことから、多くの人々に愛用されています。
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