解離性大動脈瘤

中高年に多い病気

 同じ血管でも動脈は静脈と違って、その構造が複雑です。

 血管の壁は高い血圧にも十分に耐えられるよう、三重になっています。内側から、内膜、中膜、外膜の順になっています。

 解離性大動脈瘤というのは動脈硬化のため中膜の栄養血管に障害が起こり、このため中膜が弱くなり、この部分に血液が進入し、壁を引き裂くように解離させて血管が膨らみ、動脈瘤が発生します。最も危険な合併症は破裂です。中高年に多い病気ですが、特定の病気では若い人にもみられます。

動脈硬化と先天的な原因

 原因はいうまでもなく、動脈硬化と高血圧。このダブルパンチによって、血管が酷使され、ついには高血圧に耐えられなくなって、解離してしまうというわけです。まれにですが、先天的に中膜が弱い人もいます。これも、最善の予防策としては高血圧を治療し、動脈硬化にならないことです。

 ひとだび血管が解離し、血液が血管の壁を引き裂きだしてしまうと、これを止めるために降圧剤を多量に使用して、血圧を下げますが、それでもむずかしいものがあります。血管の破損が小さければ、生命の危険も少ないのですが、破損が大きかったり、あるいは脳、心臓、腎臓などの臓器に向かう場所での破損の場合は、致命的なダメージとなる可能性もあります。

 裂かれるような激痛が、突然前胸部から背中、腹部に走った場合、大動脈破裂の心配がありますから、すぐに医者の診断を仰ぎましょう。

 CT検査、大動脈造影などの精密検査で、破損箇所や規模がわかります。