年齢に合わせた治療を考える

高齢者は血圧が高いもの

 高齢者は健康な人であっても、ある程度血圧が高いものです。

 その理由はいうまでもなく、血管が老化し、動脈に弾力性がなくなり、同時に細くなってしまうからです。

 ですから、お年寄りのかたが少しばかり血圧が高いといって、必要以上に心配することはありませんし、また、早急、過度の投薬なども控えたほうがよい場合があります。

 動脈が硬く老化してくると、全身に血液を送りだすために強い圧力が必要になります。収縮期血圧が上昇して、拡張期血圧の差が大きくなります。高齢者の高血圧の特徴です。

 高齢者の場合の高血圧では収縮期血圧170、拡張期血圧90を超えると治療を開始します。治療効果は85歳まで期待できるとされています。

脳の血管にトラブルのおそれ

 収縮期血圧も拡張期血圧も治療の目安になります。収縮期血圧が180、拡張期血圧が100を超える場合、脳卒中の危険が増すといわれています。

 治療は食事、生活改善等の非薬物治療をまず行い、それでも血圧が下がらない場合は降圧剤を少量からはじめて少しずつ血圧を下げていきます。早急、過度の降圧はかえって脳や腎に悪い影響を生じる場合もあります。

若い人の高血圧こそ要注意

 若いうちは血管も柔軟性に富んでいますから、少々血圧が高くても大丈夫、と考えることが多いようですが、とんでもないことです。

 ということは、こういう体質的に高血圧症の人は、年齢とともに血圧がますます高くなっていくからです。

 また、若い人の本態性高血圧は軽症の例が多いのは事実ですが、若いだけに長期的予後を考えると、高い血圧を無視できません。慎重な治療が必要です。そのうえ、若い人の高血圧には、基礎に別な病気にある二次性高血圧の割合いが多いことも要注意です。この場合には単に血圧を下げることばかりとらわれず、原因疾患の治療が必要です。

 20代から、こうした高血圧対処を行っても、早すぎるということはありません。

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