心臓肥大

2割近くが心臓病で死亡する

 心臓は1日に9万回近く拍動し、しかもその動きを止めることがありません。したがって非常にタフで勤勉な酷使されている臓器といえます。

 ところが、非常にタフな心臓であるにもかかわらず、人間の場合、心臓病は現在、死因の第2位を占めています。統計によれば約2割の人は、心臓病で死亡するそうです。

 心臓と血圧は車の車輪のような関係です。高血圧が健康をそこなうように、心臓そのものの機能にも悪影響を与えています。

一種の防御反応として肥大

 高血圧の状態というのは、言葉をかえれば心臓がそれだけ余分な力をいれて、高い圧力で血液を送りだしている、ということにほかなりません。

 心臓は筋肉の固まりです。その心臓が毎日、ハードな筋力トレーニングしているようなものです。とくに、血液を送りだす働きをつかさどる左心室は、筋力トレーニングのおかげで、隆々たる筋肉層をもってしまうのです。

 ある意味では、高血圧に対する心臓の防御反応ということができますが、これが心臓肥大であり、正確にいえば、左心室肥大なのです。

 ところが、過度のトレーニングは筋力を低下させ、トラブルを招くように、肥大した心筋もやがてはハードな働きをこなすことができなくなり、肥大したまま動きが鈍くなります。

十分に血液を送りだせなくなる

 高い血圧を必要としている肉体に対して、十分に血液を送りだすことができなくなった左心室。やがて圧力のバランスが崩れ、心臓に血液が充満した状態になります。

 その血液はひどい場合は、肺にまで達します。これを「肺水腫」といいます。心臓が心臓としての働きをこなせない状態を、一般的に「心不全」といいますが、肥大した左心室をもてあましている心臓は、ちょうど心不全の状況です。

動悸と息切れがひどくなる

 心不全におちいると、動悸が激しくなります。軽い症状だと、息が上がってしまったり、呼吸が大きくなったりします。

 しかし、心不全の状態が続くと、動悸はますます激しくなり、呼吸も荒くなります。呼吸そのものが苦しい作業となり、寝ている状態でも胸が圧迫されるように感じます。

 また、胸のあたりが締め付けられるような圧迫感を覚え、たいへん苦しみます。肺水腫にまで広がった場合は、呼吸困難が生じ、息苦しくて仰向けに寝られず座って布団や枕によりかからないといられないようになり、ピンク色の泡のような痰を出します。

 こうした状態は危険な状態ですから、なるべく早く医師の治療を受けましょう。

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