程度で違う薬による治療

最低血圧90以上が対象

 人間にとって血圧は不可欠なもの。しかし、高すぎても低すぎても健康な状態を保つことができません。そこで、おのずから「正常値」というものが設定されるわけですが、これも正確にいえば個人差があり、どこからどこまでが正常値であるかを判断するのはむうかしいものです。

 一般的には、体格、年齢、病気の有無などから一概にはいえませんが、最大血圧は140ミリHg以下、最低血圧は90ミリHg以下を正常値の範囲としています。

 そして、ここでポイントになるのが、最低血圧。90ミリHg以上はなんらかのトラブルの発生が予想される数値になりますから、医師の診断を仰ぐようにしたいものです。

薬はできるだけ使用しない

 とくに本態性高血圧の場合、食塩制限、カリウム摂取、アルコール制限などの食事療法、減量、運動療法などの一般療法が効いているならば、薬の使用は控えます。

 合併症がでているときは、高血圧の治療とともに、合併症そのものの治療も併用しなくてはなりませんから、素人療法は大変に危険です。

 合併症がまだあらわれていないようならば、1か月、2か月という長期のサイクルで慎重に「一般療法」を試みることが多いのです。

 血圧降下剤をお酒で飲み下すという人も中にはいます。また、薬を飲んでから塩辛や明太子をおいしそうに食べている人も見かけます。これでは、なんのための薬かわかりません。根本的に高血圧を治そうと思うならば、食生活の改善をはじめとして、一般療法も重要なのです。

血圧のさげすぎに注意

 医師はどの程度血圧を下げるのが、その患者にとって最適なのかを判断したうえで、薬を処方します。なぜならは、下げすぎはかえって別の副作用を起こすからです。

 ですから、患者側としては処方箋にしたがって、正しく薬を服用することが肝心で、たとえば、一気に血圧を下げたいからと2回分を一度に服用したりすることは厳に慎まなくてはなりません。

 最近自宅で血圧を測定するかたが、増えていますが、狭心症を合併症状としてもっている場合、血圧が下がりすぎるとかってに判断して、ときに薬物を中断するケースがありますが、発作を誘発する場合がありますので、注意しましょう。

副作用の心配は?

 薬ですから副作用はまれですが、あります。

 副作用発見のために、ときどき尿血液等の検査をする必要がありますが、患者さんが医師に伝えないと発見されにくい副作用もあります。これらには、β遮断薬による不眠、悪夢、うつ状態、インポテンツ、ACE阻害薬による咳、Ca拮抗剤による頭痛熱感などの自覚症状です。これらは検査では判明しませんから、服用する側もなにか体の不調があった場合医師に伝えましょう。

 そのほかにも、糖尿病や脂質代謝に悪影響をおよぼしたりするものもあります。また、腎臓機能が低下していると効果を期待できない薬もあります。