治療は一定ではない本態性高血圧
本態性高血圧とは、明らかな基礎疾患のない高血圧です。したがって、一般療法および薬物療法による根気よい降圧が治療になります。
高血圧と診断されたら、それが本態性のものか、それとも原因がわかる二次性高血圧なのかをはっきりさせる必要があります。
本態性高血圧は、数ある二次性高血圧を除外してはじめて診断されます。したがって、二次性高血圧に認められるような基礎疾患にもとずく独特の症状や身体所見の特徴に乏しいということがあります。遺伝関係も多少認められます。本態性と診断が確定されたなら、各種の治療により降圧をはかり、適正な血圧を保ち、合併症の発生を予防するために根気よく治療を行う必要があります。
高血圧に合併する病気に注意
本態性高血圧の場合は、よほどの高血圧でなければ短期的に高血圧そのものにそれほど心配する必要はありません。
むしろ、10数年先の長期的な観点で心配していただく必要があります。それは高血圧によってもたらされる合併症への注意です。つまり脳、心、腎、血管といった臓器に対する血圧の影響です。高血圧の治療はこつこつと積み重ね、合併症を予防、発生した合併症の治療が考慮されます。老後のための貯金と同じようなものです。
最低血圧の高さに注目する
高血圧症、という言葉からでしょうか、一般的に最高血圧(収縮期血圧)に関心をもたれる人が多いようです。「血圧が200もあった」というような場合は、例外なく最高血圧を指しています。ところが、そういう人に「では、最低血圧はどれくらいですか」と質問すると「わかりません」と答えることがほとんどです。
医師が高血圧でないかどうかを判断するのは、むしろ最低血圧(拡張期血圧)なのです。
その理由は、拡張期血圧は一定しているからです。
収縮期血圧は、ちょっとしたことですぐに上昇してしまいます。極端な話、医師のもとで血圧をはかる、ということだけで1~2割上昇する人だっているくらいです。
ただし、高齢者のように収縮期血圧のみがつねに高くなる収縮期性高血圧もあり、治療の対象となります。
その点、拡張期血圧は比較的安定した数値を示します。
平均値血圧を求める
正確をきすために、一般的には平均血圧というものを求めます。
拡張期血圧 + ( 収縮期血圧 - 拡張期血圧 ) ÷ 3
という数字であらわされます。
その結果の正常値は、105ミリHg以下。高血圧は115Hg以上となります。